本当の実力が付く、大人の英語勉強法6つの原則

【 このページに書いてあること】

  • 英語運用能力をある程度体得した著者の体験談
  • 落とし穴に落ちないための英語学習6つの原則
  • 効果的な英語勉強法と、それを続けられる方法
地図とコンパス

英語関連で一番聞かれるのは「どうやって英語を勉強すればいいの?」「あなたはどうやって勉強したの?」という点です。このページに、私が普段どういう事を回答しているかをまとめておきます。

英語学習についての話題を読むときの注意点は「その勉強法がどのレベルを目指しているのか」を意識することだと思います。このページでは「不自由なく読める、聞ける、話せる、書ける という本物の英語力」を身に付ける方法について書いています。ですから、TOEICや学校のテストで手っ取り早く高い点数を取る方法や、とりあえず通じるレベルの英語力を身に付ける方法、まったくの初学者(TOEICで300点台など)向けの勉強法などは書いていません(しかし、それでも多少参考になることは書いてあるはずです)。

内容はできるだけ一般化して書いてありますが、この記事の根拠はほぼ一個人の体験談で、一部の紹介事項(明記してあります)を除きすべて私が実際に経験したことです。また意見を述べる場合は、可能な限りその根拠を記載するように心がけました。従って、自分に合っているかどうかはその根拠を読んでご判断ください。

私はアメリカに2年住んだことがあります。ただし、このページに書いてあることはすべて渡米前の話です。また、留学経験もなく、英語の成績は底辺でした。詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

このページの内容はかなり長いです。お時間のあるときにお読みください。

理論編:原則を理解する

原則1.ゴールまでの必要時間を知る

これから当たり前のことを言います。

英語の運用能力を高いレベルで獲得した人で「英語学習に一時期集中的に時間をかけていない人」を私は一人も知りません。英語を身に付けるためにはそれなりの時間が、しかもそれなりに集中した一時期が必要そうだ、と言えそうです。

長い道のり
英語学習は長い道のりです

英語を身に付けるには時間が必要というのは、既に分かっている方がほとんどだと思います。といっても実際のところ「どの程度勉強すればどの程度のことができるようになるのか?」を知りたい方も多いと思いますので、以下に私の体験談を紹介します。

体験談:

私の例でいくと、毎日英文メールを書くような仕事をして5年くらい経過したところで、仕事上の英文のやりとりならほぼ不自由ないと感じる程度になりました。仕事が忙しすぎたので集中的に勉強するヒマはありませんでしたが、少しづつ必要な知識を仕入れていました。1日1時間、おおよそ年に200日英語に触れたと仮定すると、1時間 x 200日 x 5年 で1,000時間ということになります。このとき初めて受けたTOEICが825点でした。

その仕事を開始する前までは英語は特に勉強していませんでした。大学生のTOEIC平均スコアが540点と言われます。私は明らかに平均より下でした。受けていないので分かりませんが、仮に425点と仮定しますと、400点上げるのに1,000時間を要したことになります。

この時点での英語力はこんな感じです:ビジネスメールのやりとりはなんとかなるが、ニュースは読んでも分からない単語が多くて続かない。会議などゆっくり話される英語を聞く場合はなんとかなるが、分からないところは想像でカバーしている。ディナーで話されている話題の7割はわからない。なんとか拙いなりに意味のあることは言えるが、ニュアンスなどに気を遣う余裕は全く無い。

2年ほど経過したのち、ひょんなことからアメリカに住むことになったため、渡米前の1年間で英語学習を徹底的にやり直しました。勉強開始時点でTOEICは930点(2年間400時間で825点→930点の計算)、初めてのTOEFLが80点台でした。このときに勉強に使った時間は業務に加え1日4時間くらいです。土日も相当勉強しましたから、おそらく年間では1,500時間くらい勉強したのではないかと思います。

その結果、渡米直前時点での英語力はこんな感じになりました:古めかしい英語や表現が詩的な小説でもない限り、英文を読むことは苦痛ではない。ビジネスディナーはほぼ100%聞き取れる(専門外の話や話題が予測できない場合でも大丈夫)し、アメリカ人同士のトークも理解できる。たまにつっかえるし文法のミスはあるが、言いたいことはニュアンス込みでほぼ伝えることができる。

一般に英語をモノにするまで(この定義は実に曖昧ですが)おおよそ2,000~3,000時間かかると言われています。私が上記水準に達するまでに費やした勉強時間は累計でおよそ3,000時間です。ですから体感的にも合っていると思います。

何をやるにしても、どんなに効率的にやったとしても、千の単位で時間はかかると思います。

長い時間をかける、かつある程度は短期に集中するのが原則だとすると、以下のような方向性は間違いだと分かります。

  • モチベーションを軽視し、長く続かない勉強法を選んでしまう
  • 英語学習を甘く見ていて、夢のようなゴールを早く設定しすぎてしまう
  • 週に1時間程度の学習しかしないので、いくら時間をかけても定着しない

原則2.全体像を把握し網羅的にやる

残念ながら「これだけやっていればOK」みたいな魔法のような勉強法はありません。

英語の三大基礎能力は「文法・語彙・発音」です。このうちどれが欠けてもどこかで伸び悩みます。

修羅場
どうしても選ばないとダメ?

私がつまづいたのは以下のようなことでした。

  • 文法の理解が不十分なので、簡単な表現しか理解できないし、何より思うように発信できない。
  • 語彙が少ないので、アウトプットはごく簡単な表現に留まり、相手の言っていることが分からない。
  • 発音の理解が曖昧なので、読むスピードが遅く、もちろん話す内容は通じず、かつ聞こえない。

「会話中心だから文法はいらない」「発音がダメでも読み書きしかしないからOK」が間違いなのはおわかりでしょうか。どれも欠かせませんでした。欠かせないから基礎なのです。基礎に戻り、きっちり練習をしたことが最終的に功を奏しました。

英語の運用能力は「読む・書く・話す・聞く」の4つです。これらの能力はそれぞれ関連しています。

分野方向リアルタイム性
リーディングインプット×
リスニングインプット
スピーキングアウトプット
ライティングアウトプット×

インプットとアウトプットは相互補完の関係にあります。インプットしなければ新しい要素が増えていくことがなく、アウトプットして練習しなければ身体感覚として身に付いていきません。

私も、気付くまで以下のような点で苦労しました。

  • インプットしかせず、アウトプットしようとしないため、理解が表層的で、体がリアルタイムに反応しない。
  • いつも同じ表現しかせず、勉強しようとしないため、表現のレベルが挨拶・雑談止まりになっている

原則3.自分を知る

英語の勉強法は本当に多く出回っていますね。これだけ情報過多だと、迷ってしまいますね。私も迷いました。

しかし、基本的には自分に合うモノをやれば良いと思います。自分に合うというのは「楽」という意味ではありません。「今現状で自分に足りないものを把握し、その部分を補強する」という姿勢が大事ということです。

悪くないッ! ぜーんぜん悪くないッ!
ぼくはクマちゃんがいないと寝られないんだ。
何か悪い?

それぞれの人ごとに、英語学習の目的も現状の力も好みも異なります。誰にでも適用できるメソッドなんてものは存在しないのではないでしょうか。

何でも試してみて「違う」と思ったらやらないというのも1つです。

体験談:

私には「瞬間英作文」「シャドウイング」「オーディオブック」が合いませんでした。「オンライン英会話」も続きませんでした。瞬間英作文については、自分の頭に浮かぶ表現と書籍の答えが違うとイラッと来るというのが理由です。言い方がちょっと異なるだけで、瞬時に表現することは出来ていたので、おそらく瞬間英作文自体がその時点で必要なかったのでしょう。シャドウイングはやっても頭に意味が入っていきませんでした。おそらくその時点でまだ構文把握力が不足していたので、シャドウイング自体がオーバースペックだったのではと思います。オーディオブックはどうしても気が散ってしまってダメでした。書き言葉を聞くというのは本質的に退屈なんじゃないかと思います。オンライン英会話はしばらくやりましたが、単位時間あたりの学びの量が私にとっては少ないと感じたので、やめました。

一方で、オンライン英会話を中心に英語力を伸ばした人も沢山います。瞬間英作文がブレイクスルーとなって一気に伸びたという体験談も何人か聞いたことがあります。

要するに、何が合うかはその人次第ということです。三大基礎「文法・語彙・発音」を身に付け、四大運用能力「読む・聞く・話す・書く」のうち自分の弱いところを補強できる方法であれば、どのような方法を活用してもいいと思います。

この勉強法はつまらないから続かない、というのも立派な理由の1つです。過度の無理はやめましょう。ただし学習の目的にはこだわりましょう。目的さえ達成できるなら手段は何でも良いと思います。

現状の自分にどこが不足しているのかを把握することが何よりも大事です。すぐには分からなくても仮説でいいです。何が足りないのか、考えようとするだけで大きく成果は違ってくると思います。

原則4.「わかる」と「できる」は違う

英語は文系教科ではありません。スポーツです。分かるだけでは十分ではありません。「できる」ことが大事です。

あなたが野球のピッチャーだとしましょう。

ある日コーチが、カーブの握り方、投げ方を教えてくれました。自分でも試してみました。一回確かに曲がった気がします。

これをもって「カーブが使えるようになった!」とは誰も思いませんね。

がんばれ
トリプルアクセルですか?
まあ、さっきYoutubeで見ましたし。ええ。

ところが英語学習になるとこのような勘違いが多いようです。

関係代名詞について習った。穴埋めテストで正解した。

これで関係代名詞が理解できたかというと、もちろん間違っていますね。

「できる」というのは「概ね理解した」ということではありません。使えないと意味がないのです。身になって、応用できるようになって、初めて習得したことになります。

学習のポイントは、繰り返し身になるまでアウトプットを反復するかどうかです。書いてみる、話してみる。ということですね。実際に発信できるなら、ほどなくインプットの際も体が瞬時に反応するようになります。

アウトプットとは必ずしも「実戦」を意味しません。普通に自分で英作文してみる。それを発声してみる。それだけでも大きく違います。ここに先生がいて、1つ1つフィードバックを返してくれればもちろんそれは最高です。しかし自分だけでも十分に学習はできます。自分で英語を発信しようとするときに悩むプロセスそのものが学習に大事なのです。

最初の目標は、使えるという感覚を自分の中にまず作ることであって、完全に正しいことではありません。最初から完璧は無理です。まず基準を自分の中に作って、それを実際に英語を使う中で微調整していくのです。

この「分かった、できた」感覚なしに、単に英語に触れるだけではあまり伸びません。

ちなみに、文法書などは何冊もやるのではなくて一冊を丁寧にやる方が良いとよく言われますね。しかしその理由は何でしょうか? それは、まさに「わかる」ではなくて「できる」が大事だからです。分かった気になるのではなく、同じ事を反復練習して身に付け、漏れをなくすのが大事だからです。何冊もやるという人は「理解しただけで満足」してしまっているおそれがあります。アウトプット練習は負荷が掛かりますので、何冊もやるというのはほとんど不可能なはずです。

原則5.必要なレベルのことをやる

本来は自明のことです。しかし英語学習のプロセスは長いので、多くの人が見過ごしてしまうことでもあります。私も何度かこの落とし穴にはまりそうになりました。

自分がやりたいレベルのことがあれば、それをやりましょう。足りない実力があるのであれば、それを補いましょう。

言うは易し、って感じですね。でも、たまにこのワナにはまる方がいるようです。たとえば以下のような感じです。

  • 旅行で簡単な英語が使えればいいだけなのに、分厚い文法書をいつまでもやってしまう
  • 仕事で英語が使える必要があるのに、英会話で雑談しかしない
  • 全然理解できていないのに難しい小説を読み続けて、無理やり読んだ気分になる

アンダースペックも、オーバースペックも良くありません。そしてこのことは人が教えられるものではありません。自分で自分に必要な勉強内容を見極めなければなりません。

筋力すごそうですね
これ? ケツアゴを伸ばしてるんだ。毎日5分ね。

自分が目指したいレベルのことが分かっていれば、ゴールに対して自分がどの位置にいるのかもある程度把握できるはずです。

テストの点数が取りたければ、まず受けてみる。そしてできないところを補強する。そういうことです。

原則6.英語力を正しく定義する

英語はコミュニケーションの道具です。

ただし同じ英語力を持っていても、コミュニケーションの能力は人によって大きく異なるようです。

たとえば、大きな声で間違いを恐れずにハキハキ話し、身振り手ぶりを使ってなんとか自分のメッセージを伝えることができる人と、間違いを恐れて黙ってしまう人では、成立するコミュニケーションの量に大きく差が出るでしょう。

このように、コミュニケーションにおいては、意欲や間違いを恐れないことが何よりも大事です(極端な話、身振り手振りでもコミュニケーションはできます)。

ただし、上記の2人の英語力に果たして差はあるのでしょうか。

分からないってなかなか言えない
サインしちゃったけど……ほんとにわかってんのかな?

前者がTOEIC500点で、後者が900点と聞いても私は全く驚きません。英語力とコミュニケーション能力の間には弱い相関しかないのです。

「自分の意見を伝えること」という一方的なコミュニケーションであれば、英語力が足りずとも成立させることはできます。

しかしもちろん、不十分な英語力では所詮それなりのことしか伝えられません。ちょっと問題が複雑になると意志伝達に必要な時間は膨大になり、また相手が言っていることも分かったつもりで誤解したままという可能性があります。ニュアンスのやりとりもできないため相手はイライラします。

コミュニケーションが取れたという経験は、とても心躍るもので、うれしくなります。そういった喜びは大切にしつつ、ただし自分の英語力を客観的に把握する努力は怠らないようにしましょう。TOEICやTOEFLといったテストを受ける目的の1つです。

これを怠ると、英会話で雑談だけしかしない、あるいは留学しても簡単な言葉しかしゃべらない、そして結果として英語力は期待していたほど向上していない、ということが起こり得ます。

実践編:具体的には何をするか

基本の方程式は以下の通りです。

  • 三大基礎(文法・単語・発音)を固める
  • 四大運用能力(読む・聞く・話す・書く)をバランス良く伸ばす

それぞれ見ていきましょう。

英語の基礎1.発音

発音は大事です。基礎の中でもまず発音を一番最初に勉強すべきだと私は思います。なぜ発音が大事なのか。理由は以下の通りです。

理由1:単語は発音とセットで覚えるのが効率がいいから

間違った発音で単語を覚えて、それを後から取り返すのは無駄が多すぎます。

理由2:音読など「声を出す」学習メソッドはとても効果的

ただし発音ができていなければ、これらの効果は半減してしまいます。

理由3:発音ができると正しく読め、聞こえるようになるから

きちんと発音ができるようになれば、英文のリズムが身につき、英文を読んだり聞いたりするのが楽になります。

ちなみに「発音」といったら、LとRの区別とか、母音の発声の仕方とか、そういうのだけだと思われるかもしれませんが、違います。

発音は「アクセント」とセットなのです。どの部分が強く発声されるのか、どの部分が弱くなるのか。単語の中でもそうですし、文章の中での強弱(ストレス・イントネーション)もそうです。

ちがあァァァーーーーーう!
ストレスってそういう意味じゃないから!!

ですから文章を読む練習をしてください。文章の中で発音できなければどのみち意味はありませんし、文章を読んだときに発音しづらいようであれば、それは何かが間違っています。

個人的にはこれらをきっちり勉強したことは本当に大きかったと思います。なぜなら、気分がいいからです。自分がかっこよく英語話せてるなーというようなご褒美感も学習には大事だと思います。発音が綺麗だと実際そんなに英語ができないうちからも「あなた英語上手ですね」と褒められます。

発音のお勧め本

Mastering American Accent

私は発音を誰かに習ったことは一度もなくこの本のみで独学しました。これだけで基礎は完成します。すばらしく完成度が高い本で、心の底からお勧めします。洋書ですが外国人向けに書かれているためそんなに難しい英語は入ってません。ですから「はじめての洋書」としてもお勧めできるレベルです。どうしても不安ならAmazonでちょっとだけ中身が見られます。この本を2~3ヶ月かけてマスターすれば発音の基礎は終わりです。

以下におすすめの理由を書きます。

まずこの本では、発音記号だけでなく、アクセントやイントネーションについてきちんと教えています。発音はアクセントとセットです。アクセントが間違っていると母音と子音が完璧でも全く通じません。発音記号だけを勉強するのは片手落ちもいいところです。アクセントの理解は、長い文章を話すとき、速く話すときに特に重要です。

ちなみにアメリカ人が人の発音を具体的に褒めるときは「綺麗なアクセントだね」あるいは「流暢だね」というように言います。発音(pronunciation)が上手だね、という言葉は一度も聞きませんでした。母国語のクセで母音が多少不自然だったとしても、アクセントが上手ければちゃんと通じます。一方で、私の経験からもそうですが、アクセントができていない英語は聞くのが本当に大変です。単語や意味の切れ目、ニュアンスが分からないので、聞く側の脳内で不自然な発音を補正することすら難しいからです。

次に、この本では発音記号を越えた正しい発音を学べます。実際に発音するときは発音記号通りにしゃべるのが正しいとは限りません。アクセントが消えたり、弱くなったり、つながって別の音になったりします。日本語でも一緒ですね。このように発音記号は必ずしも正しくないのですが、このことは英語中級者でも知らないことがあり、びっくりされる方も多いです。これが分かっていないとリスニングのとき苦労します。

これはアメリカ英語の本なので、イギリス英語の発音を勉強したい方は別の本が良いと思います。特に理由がなければ(イギリス英語圏で生活したいとかでなければ)アメリカ英語を勉強するようにお勧めしています。なぜなら日本でアクセスできるコンテンツは圧倒的にアメリカ英語のものが多いからです。またアメリカのコンテンツはとても強く、結果としてイギリス英語圏でもアメリカ英語には親しんでいるということが多いため、アメリカ英語は多くの人に理解されやすい英語と言えます。

この本の使い方
最初はデスクに向かって本をきちんと読む座学をお勧めします。発音の本というと、CD音声を移動中に聞いて練習するだけとなりがちですが、個人的にはそれでは不十分だと思います。舌の位置や口の開き方のコンセプトは、最終的には気にしなくなるものですが、学習段階では必要なことだと思います。私は口に指をつっこんだりしながら確認しました。自分の声をPCで録音し、CD音声と比較するというのもかなり有効でした。

発音の基礎学習のゴールは「ネイティブ並の発音を身に付けること」ではありません。自分の中に基準を作ることです。基準を作るというのは「違いを理解する」「コンセプトを理解する」ということです。ある母音を完璧に発音できなくても構いません。母国語のクセがあるのですから最初から完璧は無理です。しかし、少なくとも自分の中で、異なる母音同士は区別が付くようになってください。aとaeが一緒の音だと思っていると、ずっとそれを区別できないままです。最初に「違う」ということが意識でき、自己流でもいいので区別して発音できるようになれば、いずれ上手くなります。同じくアクセントの欠落というコンセプトを知っていれば、すぐには出来なくてもそのうち分かるようになります。

この発音本に書いていない「日本人特有の発声のクセとそれを矯正する方法」を以下のリンクでまとめましたので、よろしければご覧ください。
日本人のための英語発音の練習方法

英語の基礎2.文法

文法の大切さはいまさら強調するほどのことではないでしょう。しかし意外と誤解されているところもあります。

英文法は、自習で英語を覚えなければならない大人にはとても便利なショートカットツールです。理由を簡単に説明します。

なぜ英文法が必要なのか

言語のルールを覚える方法は以下の3つに分類できます。

  1. 正しいものを大量にインプットして、帰納的にルールを導き出す
  2. アウトプットしてみて、誰かに訂正してもらうことでルールを覚える
  3. ルールを明示的に覚え、実践で確認していく

このうち、1,2番目は実践が困難です。なぜなら、赤ん坊が言葉を覚えるまでに本来要する「大量の」インプットをするだけの時間は大人にはないからです。また、親のように辛抱強く言葉を訂正してくれる先生もいません。ですから普通の人には3.しかありません。自習期間中には文法を活用することで学習効率を上げることができます。

こっちもばぶばぶで返せばいいと思う
「ばー、ばぶばぶ? ばぶばぶ?」
「え、そこから……?」

どのように英文法を勉強するか

文法は「基礎の網羅」と「深掘り」の2つの段階に分かれると意識するのがおすすめです。

基礎文法には何一つとしておろそかにして良い部分はありません。もちろん必要性の濃淡はありますよ。しかし、たとえば冠詞は高度だからいいや、とか思わないでください。冠詞とそれをとりまく概念が理解できていないと英語を発信するときにとても迷うものですし、ごく簡単に表現できることをわざわざ難しくしてしまう原因にもなります。

一方で、重箱の隅をつつくような本当に細かい文法事項というのはあります。文法書を勉強するとき、この2つを混同しないことです。

と言われてもどう区別するんだ、って感じですよね。もちろん初学者のうちはこれを区別できません。そこで、基礎のみをきちんと網羅した文法書が必要になります。

文法について書かれた書籍はおおまかに3つに分類できると思います。

  1. リファレンス
  2. 基礎事項網羅用
  3. 知識を深める副読本

1.リファレンスの本は、学術書といった趣の分厚い本です。数千円からします。「名著」みたいに権威付けがされるのもここですね。「~総覧」とか「~講義」とか固い名前が付いているのがこれです。こういう本を通読しようとしてはいけません。どうしても分からないことがあったときに参照する用です。個人的には今の時代にあまり必要とは思いません。なぜなら、ネットでほとんど解決してしまうからです。日本語だけでなく英語でも検索するようにすれば大抵の疑問は解決します。基礎が身に付いた後深掘りしたい人は買ってもいいでしょう。私は買いましたが、数えるほどしか使いませんでした。

英文法の学習で一番重要なのが2.基礎事項網羅用の本です。「~式」とか「~英文法」とかシンプルなタイトルが付いている2,000円くらいまでの本です。これを一冊やりきってください。そして、2~3周するのをおすすめします。なぜなら一度では絶対に抜けがあるからです。繰り返しますが、基礎文法におろそかにして良い部分は何一つとしてありません。全部きちんと理解する、そして「わかる」だけでなく「できる」ようになるには、何度も何度もやる必要があります。1周目は全体感を掴むためにざっと流す、2周目で一通りやる、3周目で漏れをなくす、みたいな感じが理想的なのではないかと思います。

そして3.の副読本は、特定ジャンルに特化した英文法や、どうしても分かりにくいところを補助する目的で使います。2.をずっとやるのは疲れてしまうので、たまに3.に浮気することも良いと思います。「ネイティブ感覚の~」とか「冠詞をモノにする」とかそういう感じの本がこれにあたります。

注意点としては、副読本のジャンルは玉石混交ということが挙げられます。ネイティブが書いてなぜこんなひどい内容になるのか、と思わず顔をしかめたくなるものも少なくありません。基礎が身に付くまでにはあまり浮気しすぎないことをお勧めします。読みたくなった場合は評判をきちんと確認しましょう。

「副読本っぽいテイストの基礎事項網羅本」にも地雷が多いように感じています。本当は複雑なまま理解しなければならないのに、過度の汎化を行ったあげく余計分かりにくい、みたいな本がたまにあります。「感覚で身に付ける」みたいなワードには要注意です。英語感覚とは「大量の英語に触れ、結果として身に付く」というのがその基本です。ただし「日本語と英語の感覚の違いを意識して学ぶ」というのは必要です。この違い、分かりますでしょうか。過度の汎化はだめです。「○○は迫ってくる感覚」とかがダメな例です。迫ってくるって何だ。分かった気になってはいけません。

基礎事項網羅用のお勧め文法書

Grammar In Use Intermediate

※この表紙がアメリカ英語版です。

一冊だけ挙げろと言われたらこれです。鉄板です。英語の先生にお勧めされて買って大正解でした。

この文法書の良いところは、(1)きちんと違いや使い分けについて教えているところ (2) 基礎事項が過不足なくまとまっており、余計な細かい情報がないところ (3) 練習問題が豊富なところです。従って基礎事項の理解を深めるドリル型学習にぴったりです。よくある文法書は「詳しい」ことを売りにしたものが少なくなく、細かいことも網羅してしまった結果、基礎事項の学習書としては適していない場合が多いようです(リファレンス本との境目が曖昧になっている)。

一方であらゆる疑問に答えてくれるかというと、そういう本ではありません。しかし、基礎も分かっていないのに細かいところを聞いてどうするのでしょう、という気がします。もう一度言いますが、「基礎の網羅」と「深掘り」は分けましょう。文法は道具であって知識ではありません。どうしても気になるところがあれば検索すれば事足ります。

洋書ですが、難しくありません。上に挙げた発音の本よりさらに簡単に書かれています。不安な方は、同じくAmazonでちょっとだけ中身が見られるので確認してみてください。しかし、英語で書かれているからこそやる価値があるのです。日本語で説明されるよりもこの本を読んだほうが私は遙かに素直に理解できました。また、この本で勉強すると必然的に簡単な英文をたくさん読むことになりますので「文法を学びながら英語に少しづつ慣れる」ということが可能です。

このシリーズはアメリカ英語版とイギリス英語版があり、この本はアメリカ英語の中級版です。初級版もありますが、ざっと読んだ感じでは、まがりなりにも学校教育を受けた日本人がやるには簡単すぎるな、と思いました。I am / You are / She is あたりからやり直したい方は初級版でもいいかもしれませんが、そういう人はそもそも日本語の書籍の方が良い気がします。

リファレンス用の本、副読本は、必要性に応じて好きなものを読まれると良いかと思います。

英語の基礎3.単語

単語力は、ある程度は自然に伸びていきますが、単語を覚えるための仕組みを用意しておくとより効果的に勉強ができます。

また「ボキャビル」という方法もあります。ボキャビルとは本を読んで分からない単語を覚えるような受動的な単語の増やし方ではなく、単語リストなどを使って数千語を一気にインストールする覚え方のことです。これをやると読める英文のレベルが一気に上がります。

以下に単語学習の原則を述べます。

単語帳を作って繰り返しやる

一回で覚えられる単語はほとんどありません。何度か繰り返さなければいけません。自分オリジナルの単語帳を作ることが決定的に重要です。覚えられないものを反復することが大事なのもその理由の1つですが、学習の段階で出会った「自分が覚えたい単語」をどんどんこれに登録していけるところが大事なのです。この単語帳に登録し、復習するというプロセスは、英語学習を続けるかぎりずっと続きます。スマホアプリでも実際のカードでも良いのでぜひオリジナルの単語帳を用意してください。一生の友達になります。単語帳は常に携帯し、ヒマさえあれば眺められるというのが大事です。単語帳を作る努力など、その後使い続ける時間に比べたら無いも同然です。

ほんとに大事だと思います。しかし単語帳アプリにいいのがない……。
一生使います

ある程度は集中してやる

何度も繰り返すといっても、一週間に一回単語帳を眺める、というのではダメでした。私の場合、一番最初は集中してやったほうが良い結果が出ました。たとえば新しい単語を覚えたいとき、5分とか30分おきに単語帳を見ました。ある程度分かったかな、という段階になってから復習用にまわしました。復習は毎日レベルでやって、もう大丈夫だろう、となった単語は1ヶ月くらい後に確認するようにしていました。

五感を総動員する

声に出して読むことはとても大事です。意味が分からなくてもまず発音できるようになりましょう。なぜなら、字面だけで記憶に定着させることは難しいからです。私の娘が通ったアメリカの小学校では Sight words といって、意味が分からなくても反射的に発音ができるようにすることを徹底的に練習していました。意味を覚えようとするときは「ありありとリアルに想像する」「感情を込めて読む」のがコツです。この時点で発音記号が読めないとかなり効率が落ちます。

1つ1つの単語に時間をかけすぎない

あらゆる英単語に対して例文を作っていくというのは、単語学習のアプローチとは異なります。単語学習、特にボキャビルの目的は、単語のイメージを頭に焼き付け、単語を見た瞬間に意味のイメージが沸くようにすることです。単語の用例を覚えるのはリーディング、その単語を本当に使えるようにするのはライティングの役割です。目的を混同しないようにしましょう。「瞬間的に反応する」のが大事です。ですからウンウンうなって思い出した、という段階では覚えたとは言えません(ただし思い出そうとすることそのものは記憶の定着に役立ちます)。単語帳は「眺めるだけ」でも効果があります。クイズ形式が負荷が高いと感じたら眺めるモードに移行しましょう。とにかく頻度を上げてください。

ちなみに定型文や句動詞(複数の単語で意味を成す言葉)は、できればボキャビルとは分けたほうが良いと思います。あくまで私の感覚ですが、複数語を覚えるときの脳のはたらきと1語を覚えるときのそれは違う気がしています。

英単語の覚え方について、より詳しく実践的に解説した記事を書きましたので、よろしければお読みください。
心が楽になる英単語の覚え方

お勧めの語彙増強本

TOEFL3800

私には本当にためになりました。しかし万人にお勧めかというとそうでもありません。これはボキャビル用、つまり本当の基礎単語は既に入っている前提で、ちょっと難しい単語を一気に覚えるために使う本です。よく言われていますが、私はレベル3まで覚えて、大抵の英文では困らなくなりました。レベル4はやる意義が見いだせないというか、頻度が低すぎる単語たちなのでこういう本の構成では覚えにくいと思います。正直言うとこの本は「単語の選択」にその強みがあり、構成がいいとかそういう類のものではありません。ですから使い方が大事です。本だけ読むのではなく自分で単語帳を作るなど工夫しましょう。中級から上級への登竜門として、多くの人に使われている本です。

A New General Service List

上に挙げたのは中上級の本ですので、もう少し基礎のレベルの単語リストが必要な方もいるかもしれません。残念ながら、私は上の本以外を使ったことがないので分かりません。私の場合は、実務をしながら必要に応じて使える単語が増えていきました。初期段階でそれほど語彙に苦労した覚えがないのは、おそらく学校教育の段階で最低限は入っていたからだと思います。大学生の平均語彙数が3,500語くらいらしいので、大抵の人は意識しなくても2,000前後の語彙力はあるのではないでしょうか。ですから基礎単語については「漏れをなくす」感覚で良いかもしれません。上部リンクのNew General Service Listは、現代英語で使われている頻出単語をまとめたリスト(2,818語)です。しかもこちらのページで日本語訳が付いたバージョンがダウンロードできます。さらに、こちらのサイトで、発音も簡単にチェックできます。うーん、なんて便利なのでしょう。A New Academic Word Listというのもあり、こちらは学術分野での頻出単語をまとめたリスト(963語)です。これらをチェックして、知らない単語のうち「名詞・動詞・副詞・形容詞」だけ取り出して単語帳を作るのが良いと思います。

Duoのような例文で覚える単語本はダメなのか? について

正直言うと、英語学習において「これはダメ」と断言できるようなものはそれほどありません。どんなやり方でも、それが極端に実力や目的とかけ離れていない限りは役に立ちます。ぜひ自分に合う方法を使ってください。私が例文方式よりも単語帳方式をおすすめしている理由は以下の通りです。 (1) 単語学習の目的を「単語を見た瞬間に意味のイメージが沸く」と定義することで、退屈な段階を早く効率良く終えられる。 (2) 単語を覚えることはどうせずっと続くのだから、最初から単語帳方式に慣れておいたほうがよい。(3) オリジナルの単語帳なら、自分が覚えたい単語を好きなタイミングで勉強することができる。

基礎を徹底するといい理由

基礎を徹底して勉強した経験というのは、個人的にとてもプラスでした。

なぜか。それは英語学習において必要なものとそうでないものを区別できるようになったからです。

基礎に不安があるうちというのは、難しい英語や、理解できない表現にあたったとき、いつも迷ってしまっていました。分からない表現をいちいち全部学ぶべきなのかどうか、いったい何を勉強してよいのかが見えないので、モチベーションが失われそうになる瞬間がたくさんありました。

基礎をきちんと勉強すると、もちろん結果として英語の運用能力が向上するわけですが、それ以上に「自分の中に確固たる基準ができた」ように感じました。

たとえば、自分が理解できない難しい表現にあたったとしても、これは文法的に高度な段階にあるものだから、ある程度文脈で意味が取れればそれでよい、という風に判断できるようになります。なぜそれが言い切れるかというと、必要な基礎は全部やったという自負があるからです。基礎をやりきったからこそ、高度なものが高度だと理解できるようになります。

基礎をきちんとやりきると、自分の中に地図ができます。そして全容が見えてくると一気に楽しくなります。

英語の運用能力を伸ばすポイント

英語の運用能力とは「読む・聞く・話す・書く」の実践です。結果的に英語学習のほとんどの時間はここに費やされます。効果的な運用能力の伸ばし方について、以下に原則を述べていきます。

インプットは量

インプット系スキル(読む・聞く)を伸ばすための原則は「量をこなすこと」です。英語表現は多彩です。どんどん吸収してください。大量の英語に触れることで、自然と様々なルールが身に付いてきます。同じ単語でも使い方はたくさんあります。日本語にしたときは同じような意味に見えた単語たちも、大量の英語に触れていくと、実際の使い方や、その微妙なニュアンスの違いがだんだんと分かってきます。高度な文法事項、難しい単語、実際に使われている発音――そういうのは文脈で学ぶほうが効果的です。

アウトプットは質

一方で、アウトプット系スキル(話す・書く)のキーワードは「質」であり「必須表現を血肉にすること」です。あらゆる表現を勉強する必要はありません。必要以上に難しい単語の例文を書く必要はありません(覚えるための補助ならいいですが)。必要なのは、自分が言いたいことを的確に表現できるシンプルな英語です。それを見つけたら、考えなくても体が瞬時に反応するようになるまで練習しましょう。

誰もが通る道
『えっ? ノーベル賞ですか? ボクが? すごい、信じられません!』
……うーんちょっとこれだとはしゃぎすぎかな

幸い、身に付けるべき表現はそれほど多くありません。ほとんどの英語学習者のゴールは、英語で小説を書くことでもネイティブのような流麗な文章を書くことでもありません。分かりやすく、意味が間違いなく通り、誤解されにくいシンプルな表現を身に付けることです。

運用能力別の対策

リーディング

単語力が足りないとまず読めません。一般にその文章で使われている単語の97%は知っていないとスムースに読めないと言われています。私の場合、短期間に語彙数を一気に伸ばすトレーニングをしたら、目に見えて読むのが楽になりました。

そして構文がつかめないと「単語と単語の間の意味を適当に想像しながら読む」という読み方になってしまい、これは大変疲れます。単語が分かるのに読めないというのは文法の勉強が不足している可能性があります。また英文を大量に読んでいくと自然と構文感覚は研ぎ澄まされていきます。従って自分の実力に合った英語を読み続けるというのが王道の対策になります。「インプットは量」です。

リスニング

  • 知らない単語は聞こえません。
  • 構文が分からなければ意味がわかりません。
  • 自分の中に発音感覚がなければ聞こえません。
  • これらをリアルタイムの速度で処理しなければなりません。

リスニングができない原因は上記のようにいくつかあります。なので、なぜ理解できなかったのか? を正しく把握しないと対策が的外れになることが多いようです。習熟すべき事項が複数あるということは、基本的には伸ばすまでにかなり時間がかかる分野ということです。実用に足る能力を身に付けるという観点でいくと、はっきりいってスピーキングよりもかなり難しいです。

私がリスニング能力の強化を試みたときは、スクリプトの付いたポッドキャストを聞くことを中心に1年ほどかなり試行錯誤をしました。結果として何がブレイクスルーになったのかは、分かりませんでした。いつの間にか分かるようになっていたという感想です。ゆっくりゆっくり伸びていきました。ここでも「インプットは量」だと思います。焦らないで続けることが大事です。

スピーキング

ライティングができる、つまりゆっくり考えれば自分の英語は発信できるという前提に立った上で、スピーキングができるようになるためには、リアルタイムにそれを発信できなければなりません。英文をリアルタイムで処理する能力に加え、舌を始めとした口内の筋肉や神経を慣らさなければなりませんので、練習が必要です。私は「音読」をしばらくやり、これがとても役に立ったと思います。

音読は、発音、リズムやアクセント、構文把握など複数の能力を同時に伸ばすことが出来るおすすめの勉強法です。音読のやり方はいくつかありますが、私は以下の方法をお勧めします。A4一枚くらいの英文を用意して、それを何度も何度も心を込めて声を出して読んでください。たとえばドラマのスクリプトなどを使うのが良いと思います。音声のソース(見本)があるものを選ぶこと、長すぎないことがポイントです。そして「心を込める」のは本当に重要です。音読は気を付けないと、単に声に出しているだけになりがちです。内容が分からないのに読んでも意味がありません。短い文章なら覚えてしまい「暗唱」レベルになるまでやるのも良いと思います。音読の目的は、英語のリズムと構文感覚を身に付けることです。ですから、自分の知らない単語や表現が多い文章を音読用に選ぶのは間違いです。また難しい英文を読むのは目的と異なります。ネイティブでも話すときの語彙数は少ないです。

URYYYYYYYYY……ではない実は
『……屠所のブタのように…青ざめた面にしてから
おまえらの鮮血のあたたかさを、あぁぁ味わってやる!
絶望ォーーーに身をよじれィ虫けらどもォオオーーーッ!!』

もう1つのお勧めは「脳内英会話」です。人の話し方にはクセがあります。たとえば、私みたいに理屈っぽいしゃべり方をする人は、理屈っぽい表現を覚えないといけません。借り物の表現は基礎の練習には使えますが、やはり自分の言葉で表現できることが表現を豊かにする一番の方法です。こういうニュアンスの言い方がしたい! という気持ちは、勉強の良いモチベーションになります。そうやって身に付けた表現は忘れにくいし、よく使います。

ライティング

文法が第一です。文法感覚が身に付いていれば、どんな内容を書いても英文として勝手に正しくなります。重要なキーワードを知らなくても、いくらでも別の方法で文章を構成できます。

これに加え、自分にとって初めての表現や単語を使うときは、できれば英英辞典を使うということをすれば、最初から間違えずにすみます。英英辞典の使いどころはここです。インプット時、つまり読書をするのに英英辞典を使うのは効率が悪い、というか目的を混同してしまっている気がします。

ライティングは時間に余裕がありますから、楽に人のマネができます。英文に触れる中で「これは使える」とか「これはモノにしておきたい」というお気に入りの表現を見つけたら、積極的に取り入れて練習していきましょう。

話し言葉と書き言葉は違います。書くことは話す言葉より多少複雑になる傾向があります。複雑な文章を構成しようとすると「文法的には合っていても何かぎこちない、読みにくい文章」を書きがちです。この問題は大量の英文を読むことで感覚を磨いたり、英文スタイルの勉強をすることで解消することができます。

また、英文ライティングの世界には独特のクセがあります。特に米国ではロジックの通った作文の書き方を学校で徹底的に練習しますので、論理構造がしっかりした文章でないと、英語として正しくても相手にされないことがあります。

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どのような順番で勉強するか

本音としては、できるだけ早いうちに発音・基礎文法・基礎単語の勉強を終わらせるのがいいと思います。なぜなら、何度も後戻りするのはムダが多いからです。この3つは平行して進めて全く問題ありません。できれば発音が最初が良いと思いますが、まあ多少の前後は大丈夫です。

しかし基礎事項の練習は退屈になりがちなので、うまくモチベーションをコントロールできないと継続が難しいかもしれません。確実に身に付けるためには、じっくりゆっくりやる必要があります。発音数ヶ月、基礎文法数ヶ月、基礎単語数ヶ月。合わせて半年くらい、場合によってはもっとかかるでしょう。基礎の勉強はそれほど楽しくないので、ついつい先へ、先へと急いでしまって、結局身に付き方が浅い(アウトプットの練習をしない、の意)となってしまいがちです。焦らないことが一番大事だと思います。

基礎の学習は絶対に必要なプロセスです。ここをショートカットしようとして応用編に入っても、結局は戻ってくることになります。

時には大幅にやり直すのも大事
ママ、ここは小学校だよ

とはいえ、私は基礎を終わらせてからでないと応用に入るな、とか禁欲的なことを言うつもりはありません。様々な分野で英語の運用能力を試すのは、実力を把握し課題を発見するためにむしろ重要だと思います。ですから、基礎と応用を単純に時期で分けるのではなく、自分の理性に従ってあちこち試し、武器を磨くのと同時に冒険もし、好きなように脳内の英語マップを塗りつぶしていくようなやり方で良いと思います。英語学習には地道な努力が欠かせませんが、とはいえストイックに登り切るには険しすぎる山です。うまく自分と付き合ってください。

ただし、できれば避けて欲しいことがあります。それは、ある程度基礎をやって応用編に入った結果、そちらの方が楽しいので基礎学習を中途半端なまま止めてしまうことです。なんとなく英語使える気がしてきたので別に基礎はもういいか、と感じる瞬間が必ず来ます。そして、そのツケは絶対にやってきます。この落とし穴は魅力的すぎるので、たくさんの人が喜んで落ちていきます。

一瞬そのときは楽しいんですね。しかし、なんとなくの実力で英語に触れているので、あるとき突然伸び悩んでいる自分に気付きます。「あれっ、こんなことがしたかったんだっけな」「思い描いていた理想とずいぶん違うな」「いつまでたっても難しいものは難しいままだな」こうなってしまうと学習のモチベーションも失われ、あとは気持ちも中途半端なまま、たまに勉強するかと思い立つも、一体どこで自分の学習が止まったのかも分からなくなり、後はなあなあ、というのがお決まりです。

本当に使える英語力を身に付けたいのであれば、まず基礎をきちんとやるのが結果として早道です。信じてください。お願いします。実力を試すことはいいですが、しかしあくまで学習時間の大半は座学に使えるようにしてください。

当たり前のことしか言えなくて本当にすみません。しかし、よくある落とし穴をそれなりに分かりやすく解説したつもりです。自分を客観視するきっかけにして頂ければと思います。

英語学習のモチベーションを保つ方法

英語学習は長い道のりですから、続くかどうかということがとても重要になります。ここでは、私がモチベーション(特に座学に対してのそれ)を維持するために役に立った考え方について紹介します。

作業興奮

やる気というのは勝手に出てくるものではありません。やるから、やる気が出てくるのです。

脳には側坐核という場所があり、ここがやる気をコントロールしています。側坐核に刺激を与えると、やる気が出てきます。ではどうしたら側坐核に刺激を与えられるのか? それは「実際にはじめてみること」です。

どうしてもやる気が出なかったことが、はじめてみたら夢中になってしまった、なんてことはよくありますよね。

ですからアクションを起こしてください。それは本を買ってみるとか、机に向かってみるとか、なんでもいいです。お金を出して少なくともスタートせざるを得なくするというのも一手でしょう。まず無理やりでも3分だけやってみる、とかもいいですね。自分の脳の仕組みを知ってください。やる気がないとアクション起こせないよね、というのが本音であることは分かりますが、認識を逆にしてみてください。はっきりいって思い込みが大事な世界です。

しかし人生これくらいのほうが楽しいですよ
ここまで楽しくならなくてもいいですけど。

モチベーションがないと嘆く人の多くは、自分にがっかりして失望しています。自分は意欲がない、忙しさにかまけて学習も進まない――それは間違いです。

意欲なんてものは最初からあるものではありません。そこに仕組みを用意するかどうかだけです。

ちなみに睡眠不足だとこの仕組みは十分にはたらきません。きちんと寝ましょう。

※ しかし中には、文章を読ませるだけでやる気がモリモリ出てくるという、すばらしい言葉の使い手もいます。現代の魔術師みたいなものです。このような「モチベーション本」を読む、あるいは話を聞くというのもスタートダッシュとしてはおすすめです。しかしあまり頼りすぎないように。内的なモチベーションの方が大事です。詳しくは以下を見てください。

Self Determination Theory(自己決定の理論)

Self Determination Theory(自己決定の理論:SDT)とはEdward L. Deci および Richard M. Ryanによって提唱されたモチベーションに関する理論のことです。

モチベーションには、外部要因から生まれるモチベーションと、内部要因から生まれるモチベーションがあります。英語学習のような長い道のりでは、学習の道のりそのものを楽しめる、学びが楽しい、そういった内的なモチベーションが重要です。道のはるか先にニンジンがぶらさがっているというような目標指向だけではなかなか続きません。外的モチベーションの代表である「ご褒美」は、この内的モチベーションをダメにしてしまうこともある危険なものです。なぜならご褒美は他で代替できてしまうことがあり、また遠すぎるご褒美は現実感が薄いため、大変な努力に対する報酬としては弱いからです。SDTは、この内的なモチベーションが何によって生まれるかを研究した理論です。SDTのコアは以下のようなものです。

  • Competence (自分にはタスクを達成するだけの能力がある)
  • Autonomy (自分は事態を掌握し、コントロールしている)
  • Relatedness (自分を越えたところに価値がある)

作業興奮ほど簡単な話ではありませんが、これを英語学習に応用してみましょう。

Competenceとは、自分には目の前のタスクを達成する十分な能力があると確信している心的態度がモチベーションに大事ということです。従って、タスクは簡単過ぎても難しすぎてもいけません。自分が努力をすれば越えることができる適度な高さの壁を用意することが大事です。タスクは小刻みにしなければなりません。「英語ができるようになる」のような大きすぎる曖昧な目標は持たず、分割された達成可能なタスクに取り組んで、ちょいちょい達成感を得ましょう。そうすると学習そのものが楽しくなってきます。さらに有能感を増幅させるポジティブなフィードバックを受けることが重要とされます。発音を鍛えて手っ取り早く褒められる、みたいなのもそれにあたるかもしれません。

Autonomyとは、その場をコントロールしている意識、自立性のことです。自分の意志で学習をしているのだし、いつでもやめることはできるといった態度のことです。英語学習の全体像を掌握してください。誰かに強制された学習、目標に「縛られすぎた」学習は長続きしません。外からのご褒美も罰も内的モチベーションに対してマイナスにはたらきます。自分の外に頼るのはやめましょう。誰かに言われたからではなく、自分で決断しなければなりません。自分で、自分に必要と思われる、重要で意味のある決断をすることです。

Relatednessとは、他者との関連性のことです。英語ができるようになることで、自分個人を越えたどこかに良いことがあるということです。困っている誰かを助けられる。同僚が助かる。家族が楽になる。親が喜ぶ。あるいはグローバル化する社会で自分が重要な役割を果たす。自分が学んだことを人に教えてあげられる。自分を越えた意味を持つことでモチベーションが高まることが知られています。単に学習仲間がいるから続くわけではありません。自分が何かに貢献できることが大切です。

本当の意味で英語力を伸ばしたいのであれば、必ずどこかの時期で地味な勉強が必要になります。英語の勉強はしたいけど、本に向かうと憂鬱になるので、ついついドラマや英会話など楽しい方に流れてしまう方。それは決して間違いとは言いませんが、しかし「楽しい」とは何でしょうか。楽なことを楽しいと勘違いしていないでしょうか。本来、学ぶことは楽しいことなのです。分からなかったことが分かる、できなかったことができるようになるというのは、本当に興奮させられる素晴らしい体験です。しかし、間違った方法で勉強してしまうと、学ぶことは苦痛になります。ひとたび学ぶことそのものが楽しくてやめられなくなれば、あなたは無敵です。SDTはその大きなヒントになると思います。

おわりに

以上、原則中心に英語勉強法の考え方を紹介しました。

なぜ原則中心なのか。ここまで読んだ方にはもうよくお分かりですね。ニーズは人によって違います。そして、何をどう学んで行くかは自分で決めることが重要なのです。