2026/7/7 公開
この記事は、Quoraで公開した回答を再編集したものです(元の回答)。
英語の進行形のニュアンス
進行形は「今まさに動作の途中である」ことを表す、と学校では習います。でも実際の英文を読んでいると、その説明だけではしっくりこない進行形にぶつかることがあります。ここでは「なぜここで進行形を使うのか」という2つの質問を通じて、進行形が持つもう少し奥にあるニュアンスを見ていきます。
be thanking ― 進行形は現実から一歩離れる
Q. Though I'd like to be thanking my daughter as well. 話者はなぜわざわざ進行形を使ったのですか?
この進行形には、現実から少し離れるという効果があります(元の回答)。
この文脈で I'd like to thank my daughter と言ってしまうと、少しおかしく感じられます。娘は現実にはその場におらず、忘れ物を届けてくれたわけでもないので、そもそも彼女にお礼を言いたくても言える状況ではないからです。
be thanking という進行形を使うことで、「娘にもお礼を言えるような状態でいたかったなぁ」という、実現していない願望を表現していることになります。
もう1つ例を見てみましょう。
We'd like to be meeting in person, but we'll have to settle for a video call.(対面で会いたいところだけど、ビデオ通話でガマンしないとね。)
この場面でも We'd like to meet … と言うこと自体は可能です。しかしあえて be meeting と一歩引いた形にすることで、「現実には難しいんだけどね」という話者の評価が、相手に先に伝わるようになります。
is annoying ― 進行形は臨場感を強める
Q. My friend has been playing games a lot lately and it's annoying me. 疑問なんですがand以降はなんで現在進行形にしてるんですか?
これはそういう意味を表現したいから、というのが答えになります(元の回答)。My friend has been playing games a lot lately and …(僕の友達は最近ゲームをたくさん遊んでいて)に続く部分は、時制によって意味あいがまったく変わります。
- it annoys me. (いつもイライラさせられる)
- it's annoying me. (まさに今もイライラしている最中だ)
- it's been annoying me. (そのことにずっとイライラし続けている)
- it annoyed me. (イライラしていた=今はそうでないことを暗示する)
- it would annoy me. (そのうちイライラするだろうな=今はまだそうではないけど耐えられなくなるかもしれない)
これらはすべて英文として成立します。時制の組み合わせは、意味さえ通じれば自由に選べるのです。
この文脈で現在進行形を選んでいるのは、イライラ感を強調したい、あるいは臨場感を高めたいという意図があるからだと考えられます。似た例として He is always complaining.(あいつはいつも不平ばかり言っている)があります。どの瞬間を切り取っても文句を言っている最中のように見える、というのが進行形の効果です。
2つの質問に共通すること
be thanking も is annoying も、文法的には「今まさに進行中」という基本の意味から出発していますが、実際に効いているのは、話者がその出来事をどう感じているかという「評価」の部分です。現実からあえて一歩離れて見せたいときも、逆にその場のいきいきした感覚を強めたいときも、進行形はどちらの方向にも使える便利な道具だと言えそうです。